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(前半)家業×つくばのテックでつくる未来~家業イノベーション・アイデアソン ~2019報告会 開催

2020.6.11

日本の最先端テクノロジーの技術を牽引する、日本最大の学術研究都市であるつくば市を舞台に、20198月にスタートした「家業×つくばのテックでつくる未来~家業イノベーション・アイデアソン~」は、家業イノベーターたちが抱える課題や悩みとつくばの知見を掛け合わせることで、事業の新たな発展や価値を生み出すことを目的としたアイデアソンです。20198月~12月まで、月1回、全国各地の家業イノベーターとつくばの経営者や研究者・学生らが集い、熱いディスカッションを繰り広げてきました。そして、今年1月からは、家業イノベーターたちは各自でPoC(概念実証)に取り組み、その成果は徐々に形となって表れてきています。

今回は、「家業×つくばのテックでつくる未来~家業イノベーション・アイデアソン~」に参加した家業イノベーターたちが、全5回にわたって開催されたアイデアソンから生まれた事業構想をオンラインで報告する様子をレポートします。

アイデアソンで生まれた事業構想が徐々に形になっていく

日時は2020611日(木)午後6時。

平日夕方からの開催にも関わらず、スタート時間になるとたくさんの人たちが画面の向こうにスタンバイし、これから始まる家業イノベーターたちの報告を興味深く見つめています。

今回の「報告会」のモデレーターを務めるのは、コワーキングプレイスTsukuba Place Lab」の運営者であり、つくば市に誕生するスタートアップ企業のサポートを行う、株式会社しびっくぱわーの代表取締役の堀下恭平さんです。

Tsukuba Place Lab」は「家業×つくばのテックでつくる未来~家業イノベーション・アイデアソン~」の拠点となった場所。堀下さんはすべての回に参加し、家業イノベーターと優れた技術を持つつくばの方たちとの化学反応を見守ってきました。

堀下さんから開始の合図が発せられ、いよいよ5名の家業イノベーターたちの「報告会」が始まりました。

トップバッターは、今回参加した家業イノベーターの中で唯一の学生である明治大学農学部の池田航介さんです。

池田さんの家業は、静岡県沼津市で江戸時代から続く青果野菜の卸業を営んでいます。ゆくゆくは8代目として事業を継承する予定ですが、池田さんは家業の事業拡大を図る一方で、深刻な社会問題であるフードロスの解消に向けて、学生団体「WARMTH」を立ち上げ、「子ども食堂」や「フードロスキッチン」などを運営しています。しかし、利益の出ない「子ども食堂」「フードロスキッチン」の運営やフードロスの根本的な問題、さらにはボランティア活動に限界を感じ、アイデアソンに参加しました。

現状の取り組みをプレゼンした池田さんに対し、アイデアソンでは、今一度、原点に戻って事業のビジョンを明確にすることがアドバイスされました。そこで池田さんが着目したのは援農事業です。その過程には「家業イノベーション・ラボ」主催のオランダツアーへの参加や、九州の農家を訪ねる旅で自身が感じた「Perma Future」への強い思いがありました。

池田さんは農業という分野において「持続可能な豊かな世界の実現」を目指し、①「豊かな世界を実現する人材の育成」として、農業イベントやツアーの開催、エコビレッジ型シェアハウスの実現など ②「テクノロジーと融合した持続可能なシステムの構築」として、農業と消費者を結びつけるアプリケーションの開発や生産・流通・消費にアプローチなど ③「循環型エコビジッレジの世界的な実現」など、3つの事業に取り組むことを決意しました。

事業の要となるのは、農家を中心とした地域とのつながりをより強固にするプラットフォームの構築です。農家が直面する課題を解決し、その地域の人々が求める要望を叶える。一次産業である農業と最新の技術を掛け合わせることで、池田さんが目指すエコビレッジの精神やパーマカルチャーの精神がサービスになると思ったのです。今後はそのための団体を作り、マーケティング調査からアプリ開発など意欲的に取り組む予定だと報告しました。

 

続いては、栃木県さくら市でゴルフ場を運営する株式会社セブンハンドレッドの代表取締役・小林忠広さんです。

現在のゴルフ人口はピーク時と比べると半減しています。多くのゴルフ場経営者が頭を抱える中、小林さんはこれをピンチではなくチャンスと捉え、みんなが幸せを実感できるゴルフ場を目指し、ゴルフ場を使用したフットゴルフやキャンプ、BBQの開催など、実にさまざまな取り組みを行っています。

当初、小林さんは「ゴルフ場」とつくばの最先端テクノロジーとの掛け合わせがうまく結びつかず、アイデアソンへの参加について不安を抱きました。しかし、すでに会場でプレゼンすることは決まっていたことから、小林さんは頭をひねりながら導き出した事業が「ヘルスケア事業」でした。

「ヘルスケア事業」は、平日にゴルフ場を訪れるアクティブシニアを対象にしたもので、アクティブシニアが抱える課題(老後2000万円問題や突然死問題、高齢ドライバーによる危険運転問題など)を解決するためにゴルフ場を活用するというプランです。

今でこそ、若干、ネタ的な要素もあったと話す小林さんですが、それでも多くの人の前で発表してしまうと、自然と「やらなくてはならない」状況になります。

さて、どこから手をつけていこうかと思っていた矢先、地元・さくら市の健康増進課に話してみると大いに盛り上がり、今年2月には連携協定を結ぶまでに発展しました。

健康増進課との取り組みは、①健康的な生活習慣作り ②運動習慣や運動に取り組みやすい環境づくり ③地域社会活性化の向上を目指すもので、今後、市が力を入れて取り組んでいきたいと考えている「健康マイレージ事業」を加速させることを目的としています。

そして、この連携協定を機に、小林さんはヘルスケアの新規事業の立ち上げを考えています。具体的には、アプリを使ってアクティブシニアの健康情報を抽出し、そのデータを分析してさまざまな情報提供やサービスの展開をはかっていく予定です。その中にはゴルフ場を利用したさまざまなイベントの開催も想定できます。さらに、この事業は利用客減少で悩む全国2000カ所のゴルフ場に展開していくことも可能となります。まさに「ゴルフをしないプランをゴルフ場が提案」するという、画期的な取り組みです。

これまでは、ゴルフ場をもっと使っていくこと、そして、ゴルフという枠組みの中で事業を捉えていた小林さんですが、今回のアイデアソンに参加したことで新しい領域へとビジネスを広げるきっかけになりました。

 

3人目は、福岡にある株式会社徳田畳襖店の4代目・徳田直弘さんの登場です。

徳田さんは、平日は畳職人として働き、週末は吉本興業所属の「福岡県住みます芸人」として、畳屋ラッパー「MC TATAMI」として活動しています。

徳田さんが抱える課題は、衰退する畳業界を盛り立てること、そして、廃棄い草の再活用法でした。この徳田さんの明確な課題に対し、今回のアイデアソンでは最も多くのビジネスプランが出されました。

その1つがプロダクトの製作です。

クラウドファンディングを利用して達成率300%超えで完売となった「TATAMI CITY」のロゴ入りパーカーの製作を始め、い草の消臭や抗菌効果を活用した「置きい草」、畳を用いた収納スツール「TATAMI STORAGE」などのプロダクトプランが続々と発表されました。

8月のプレゼンから1年も満たないにも関わらず、これほど多くの商品を形にしてきているのは、徳田さんの実行力はもちろんですが、今回のアイデアソンのディスカッションで寄せられた「二番煎じでもいいじゃないか。まずはたくさんの事例を作り、そこから畳の良さを広げていこう」というアドバイスでした。現在は、大手広告代理店のクリエイティブ集団と共に取り組んでいる「リモート畳」の製作に向けてクラウドファンディングを実施しています。

そして、廃材い草の活用については、天然廃材を活用して有機肥料を作る企業との商談や、ある大学のサークルの試刀術の巻藁の代わりとしてい草(使用後の畳表)の検討が始まったり、福岡のファッション専門学校の学生と共に廃材い草や畳ヘリの廃材を利用したスーツやステージ衣装の制作へと活用販路が広がろうとしています。さらに、今回の家業イノベーターのひとりである宮治勇輔さんが手がける「みやじ豚」と食用イグサのコラボレーションも構想中です。

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