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〈家業キャンプレポート二日目〉業界を超えて同じ志を持つ全国ネットワーク「家業コミュニティ」へ!

2017.8.25

2017年8月24日・25日、第一回「家業イノベーション・キャンプ」がを開催されしました。参加条件が「実家が家業を営んでいること」である本キャンプには、属性が高校生・大学生・若手社会人など、また家業のバックグラウンドも農家、酒造会社、石材店、養鶏場、果樹園、ゴルフ場など様々の、10代後半から20代前半の10名の若者たちが全国から集まりました。

「どうやったら自分らしく・楽しく継承することができるのだろう?」ということについて考えた1日目を経て、2日目には一人一人の事業継承に関するビジョンを共有するプレゼンテーションタイムが待っています。

2日目のゲストには、創業100年の老舗服飾店を家業に持ち、ご自身は熊本県でメイドインジャパンの工場直結ファッションブランド「ファクトリエ」を営む山田敏夫 さん(以下山田さん)をお招きしました。山田さんには、家業をそのままの形で継ぐのではない、新しい家業との関わり方を参加者に示していただきました。家業を持つ若者たちが描く、これからの事業継承とはどのようなものなのでしょうか?乞うご期待!

2日目のプログラム
●プランニングタイム
●「ファクトリエ」代表の山田敏夫さんトークセッション
●プレゼンテーションタイム

キャンプ一日目レポートはこちら。

「家業を継ぐということは、“第二創業”だ」!「ファクトリエ」代表の山田敏夫さんトークセッション

熊本県出身で、創業100年の老舗婦人服店の息子として育った山田さんは、大学在学中にフランスへ留学し、世界的に有名なファッションブランドである、グッチのパリ店で働いていたそうです。フランスのファッションブランドの製品は職人の持つ伝統技術がベースになってつくられているものが多く、中には数千人もの職人を雇用しているブランドや、1個のカバンをつくるために、職人が20時間以上かけて縫いあげるブランドもあるそうです。

山田さんは、伝統的な技術や職人という存在の価値を大切にするものづくりから生まれた一流のブランドを体感し、さらに同僚から「日本にも染織などたくさんの伝統があるのに、どうして日本には海外でつくられたもので溢れ、本物のブランドがないのか?」という疑問をうけ、それならば自分が作ると強く決めたそうです。

そのような疑問や経験から2012年に立ち上げたメイドインジャパンのファッションブランド「ファクトリエ」では、職人の想いの込められた製品を全国各地に届けています。山田さんは国内の600以上の工場へ直接足を運び、世界の一流ブランドから生産を依頼されるような高い技術・誇り・独自のこだわりを持っていると判断した工場のみと直接提携し、工場直結のファッションブランドをつくりだしています。

現在はまだ、完全に実家の家業を継いでいる状態ではない山田さんですが、近いうちに完全に継ぐ予定とのことです。「家業を継ぐ」ことは、それまでの価値や強みを改めて考えながらアップデートする「第二創業」であると考える山田さんは、家業を継ぐ上で一番してはいけないことは「他人を理由にすること」だと言います。

「”親からどうしてもと頼まれているから”、”友達もやってるから”、”親が困っているから”等、他者を理由にするのではなく、自分自身の人生を生きるために目の前の人を喜ばせ続けられるかどうかが大切だと思います。家業とはただの総称であり、結局全員、起業家であり経営者なのです。人の喜ぶことに興味があるか、自分の沸点を超える瞬間を持っているか、ということが大事だと考えています。家業が他の起業家と違うのは、”資産とDNA”があることだと思います。借金などよくないことも含む、ネットワーク、実績、ハード面、様々な資産があること、そして、家族の背中を間近で見てこられたDNAがあることです。それをどのように生かすかは、自分の意思です。沸点を超えた意思を持ち続けてください。」

山田さんの「沸点」という言葉は多くの参加者に刺激を与え、その後のプレゼンテーションでもよく使われた言葉となりました。これからいよいよ最後のプレゼンテーションタイムです。家業を持つ若者たちが描く未来の形とはどのようなものでしょうか?

いよいよ最終プレゼンタイム!若者たちの描く未来の形とは?

一人一人がプレゼンテーションする「自分事業計画書」には、(1)自分の将来のビジョン(やっていきたいこと)、(2)この2日間の学び・気づき、変化、(3)なぜこれがやりたいのか?( 大事にしたい想い・考えは?自分の幸せは? 世の中はどう変化していくのか?)(4)今後のアクション&宣言( どんなステップで?、「いつまでに」を大事に。 家業とどういう関係性を持つのか?)の4点が盛り込まれています。

「家業を継ぐことには興味があるけど、どうやったら自分らしく・楽しく継承することができるのだろう?」という悩みを持っていた若者たちは、どのような自分らしい継承の形を見つけたのでしょうか?

「超前向きな兼業農家に!養鶏+果樹園の複合体験型農園へ」

「実家は、梨と柿を中心とした兼業農家を営んでいます。僕が家業を継いだ後は、現在の果樹園をベースにした複合体験農園をはじめたいと思っています。果樹だけではなく養鶏もはじめることでより幅広い事業にし、その場でつくったものを味わっていただくためにバーベキュー施設なども農園内に設けたいと考えています。また、地域の小学校と連携した食育イベントなどもしていきたいです。このキャンプを通して”自分が作ったものを食べて喜んでくれるお客さんを見ることに一番幸せを感じる”ことに気付いたことが、このアイデアにつながりました。まずは1年後までに実家の経営状況の把握分析を行い、実家の家族に僕の思いを伝えていくことからはじめていきたいと思っています。2年後にはイベントを実施したり全国の生産者さんを巡り、3年後までには本格的に実家の経営に着手、5年後までには現在の2倍の業績をあげたいと考えています。」

「地域のHUBとして、町のこれからをつくるゴルフ場に!」

「実家はゴルフ場を営んでいます。僕が継いだら、ゴルフ場を人の幸せが集まる場所にすることで、人生100年とも言われるこの時代における町の中心にしていきたいと思っています。
まちづくりの視点からも考えることで、地域のHUB(ハブ)として機能させられるゴルフ場を目指せないかと考えています。
例えばキャンプ場としての機能を持たせるなど、ゴルフ場の広大な敷地を生かす方法はたくさんあると思います。 また、ゴルフ場の利用税は地域の大きな財源です。ゴルフ税の一部が地域の教育のために活用されるようになれば、自分のゴルフ体験が、子供や孫のために使われるようになるということになります。
そういった税金のより良い使い方についても行政に提案していきたいと思っています。」

「地元へのこだわりを認識したキャンプに。白山市で起業することを決意!」

「私の実家は、建設会社、ハンコ屋、食品製造を営んでいますが、幼い頃に建設会社は破綻し、今の負債に追われています。ハンコ屋さんも、IT化が進む世の中の流れと、後継者不足で閉店せざるを得ない状況です。私の故郷では、年に一度、お祭りがあります。年に一度のお祭りのために生きているような人が多く住む、伝統を大切にしている町です。そんな故郷で私は育ち、実家の状態はなんとなく分かってはいたけど、夢を見つけに上京し、海外留学もしましたが、やっぱり故郷が大好きで、故郷を守り続けて生きたいと思っています。キャンプでは地元である白山市への強いこだわりを再認識した体験となり、地元で家業を進化させられるように力をつけたいとより強く感じています。そのために、全国のまちづくりに関わる企業をリサーチしたり、実践しながら経営を学ぶために企業へのインターンシップもしようと思います。また、キャンプの仲間との対話から、自分も家族としっかり時間を取りコミュニケーションを取っていこうと思いました。家業を創業した当時の話を聞いたり、勉強を重ねながら、2023年に起業することを目標に進んでいきます!」

「酒・食・人を繋げる酒造会社へ。」

「実家は酒造会社です。将来僕は作り手の価値を使い手に向けて伝えていきたいと思っています。しかしそれはまだ曖昧な目標だと自分では考えています。目標をより明確にしていくために、まずは”やりたいことが細胞レベルでわかっている”状態になりたいです。そのためには具体的な行動をしていくことで、自分の感覚を確かめることが重要だと考えています。具体的な行動として、酒・食・人をつなぎ、自分の伝えたい価値を、体験にして届けたいと考えています。今年のうちに、酒・食・人の関係づくりの実践として、イベントを企画します。どんな空間でお酒を飲むと価値をより感じてもらえるのか?どんな料理があるとお酒をより美味しく飲むことができるのか?様々なことを確かめていきながら、自分の感覚も確かめていきたいです。キャンプでは、周りの人のチャレンジを聞いて、勉強や調査だけでなく、実践を行い、改善を行うというプロセスを繰り返す価値に気づくことができたました。自分が行おうとしている取り組みも、一回のイベントで終わらせず、冬以降も大学などを使ってワークショップやイベントを開催していきたいと思います。」

「幸せな豚を育て、人々を幸せにして、地球を幸せにする。」

「僕の実家は熊本県水俣市で山を育てながら豚を育てています。また直営の精肉店、ハムソーセージの加工場、BBQハウス、レストランなども経営しています。僕のビジョンは「豚を幸せにして、人々を幸せにし、地球を幸せにする」です。
現在、両親と従業員と一緒に豚が、のびのびと過ごしやすい環境を作ろうとアニマルウェルフェアという考えた方に沿った豚舎の建設を考えています。また、幸せでおいしい豚を育てること、そして、その豚を食べてもらうことでお客様にも幸せになってもらうことも大切にしながら、働く人の環境も改善し誇れる職場にしていきたいと考えています。
さらにかつて公害で苦しんだ水俣だからこそ、“自然との共生”を目指して、豚の糞尿処理を活用したバイオガス発電や、液肥を使った野菜づくり、森林育成など、循環型の経営を行っていきたいと思います。」

「伝統を守りつつ、新しいことに挑戦する石材店へ!」

「実家では石材業を営んでいて小さい頃から暮石などに囲まれた生活だったので、石材文化を守りたい気持ちや、日本人の精神と暮石が強く結びついていることが多くの日本人にとって当たり前のように感じていました。ですが、このキャンプでのたくさんの人とのお話を通じて、思ったよりこの感覚は一般的なものではないのかもしれないということに気づくことができました。だからこそ、石材業にできることはどのようなことだろう?これから求められることはどのようなことだろう?と考えるきっかけをいただきました。現在は高校に通っているので、大学のリサーチもしながら、興味のある会いたい人にどんどん会いに行きたいと思います。伝統を守りつつ新しいことにチャレンジできる人になるように、今できることから頑張って行きたいです。」

「生産者も消費者も笑顔になるシステムを!養鶏場からたくさんの”ありがとう”を発信する」

「実家で営む養鶏場には、現在経営理念や目標がないにもかかわらず、長年働いている従業員の方々がいたり、実家の卵をずっと買い続けてくれる消費者の方がいます。キャンプを通して見えたアクションプランは、まずはそんな家業を続けてきた家族、支えてくれているお客さんに話を聞く家業フィールドワークを始めるということです。例えば、家業フィールドワークではいつも購入してくれるお客さんにその理由をヒアリングしたり、様々なたまご料理のバリエーションを紹介する場を設けたり、実家の養鶏場やたまごの価値を見直す機会となればと思います。ゆくゆくは会社化したいと思っているので、実家の養鶏場の理念を言語化してみたいと思っています。従業員やお客さんの笑顔や”ありがとう”がもっと飛び交う状況をつくり出し、みんながより訪れたくなる養鶏場を目指したいと考えています。」

「わくわくすることを軸に進んでいきたい。姉妹でもっと楽しい養鶏場に!」

「今日は姉妹で参加していて、わたしの実家も養鶏場です。今回のキャンプでは自分だけでは見つけることのできない発見がたくさんありました。今まではとにかく”継ぐ”ことで頭がいっぱいで、生産者側のことしか考えられていなかったことに気がつきました。消費者の人たちにもっとおいしいたまごを届けるにはどうしたら良いか?消費者の方々の目線でも考えてみることにとてもわくわくし、これからがとても楽しみになりました。姉が消費者目線で考えることが得意なので、姉妹で良いバランスをとって継ぐことができたらと考えています。」

「漬物会社を通して発信する、思いをつなぐ心に残るものをつくるデザイナーに!」

「実家は漬物会社を営んでいます。今回のキャンプにも皆さんに食べていただくために漬物を持ってきましたが、”美味しい!”と言っていただきました。でも、食べ物は食べてみないとその価値がわかりません。現在は、会社で売店を担当していますが、わたしはデザイナーでもあるので、ゆくゆくはデザイン全般に関わり製品のパッケージやウェブサイトなどを改善し、”食べるまで”をつないでいきたいと思っています。また、廃棄野菜や無農薬野菜を活用した新たな漬物づくりにも挑戦していきたいです。今までは、時間がないことなどを理由にして、家族や従業員の方々とコミュニケーションをあまり取ってこなかったのですが、このキャンプを通じて自分が勝手に壁をつくっていたことに気がつきました。壁を取っ払い、本当に自分がやりたいことについて見つめられて本当に良かったです。」

「消費者と生産者を繋げる酒米農家に!」

「実家は酒米農家を営んでいます。僕は農業が大好きで、現在大学でも農業を学んでいます。父親の影響が大きく、勉強中の今だからこそ父親ともっと話し、父親の仕事を見て、お酒もたくさん飲んでいきたいです。在学中に、お酒の様々な飲み方、食べ物との取り合わせ、飲み比べなど、多様なお酒の楽しみ方を伝えるイベントも開催していくつもりです。卒業後は、まずはいろいろな農家さんのもとで働きながらたくさんの知識をつけていきたいですが、いずれは実家に戻り、消費者と生産者を繋げるということを軸に自分で経営する酒米農家になります。単純に農業だけではなく、お酒のおいしさや生産者の思いがちゃんと伝わる居酒屋を経営したり新しい挑戦もしていきたいと考えています。」


若者たちの情熱とアクションプランはいかがでしたでしょうか?これからも、このような新しい一歩を踏み出す家業を背負う若者たちを応援するために、家業イノベーション・ラボではこのようなイベントを年1回程度で計画中です。今回の様子は、NHKおはようにっぽんでも放映される等の反響もありました。今後の家業イノベーション・ラボにもご注目ください!