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手作りスプーンのワークショップで伝えるものづくりの面白さ。プレス加工の得意な町工場の新しい一歩とは。

2020.2.17

自分の手でなにかを作り上げるのは面白いものです。気軽に参加できるワークショップなど、一般の人がものづくりの楽しさを味わえる機会も増えています。ここでご紹介する株式会社加藤数物も、そんなワークショップを仕掛ける企業のひとつ。歴史と技術のある企業の新たなチャレンジに注目します。お話ししてくださったのは、この会社の4代目・加藤晶平さんです。

90年ずっと変わらない、会社の礎。

 加藤数物は、1932年に愛知県豊川市で創業しました。「数物」という名前は、当初に数学や物理の教材を手がけていたことから付けられたもの。学校教材からスタートし、次第に金属部品の加工へと事業は移り変わっていきました。プレス加工に長けた技術で、現在も自動車の足回りの部品を作り続けています。創業者である曽祖父について、晶平さんはこう語ってくれました。

 「会社に残っている記録を見ると、ひい爺さんは、二宮尊徳の報徳精神を学んで、慎ましさや堅実さを重んじていたようです。社員はもちろん、私たちが根差す豊川の地域も大切にする気持ちは、代々受け継がれていると思います。大きな会社ではありませんが、全員の顔がいつも見えて、助け合おうとお互いに声もかけあえる、働きやすい環境ですよ。家族みたいな空気感を良いと言って、入社してくれた人もいます。社内だけでなく、隣近所とのつながりの強さも感じます。社員で分け合えないほどたくさんの野菜や果物をもらうのは日常的なこと。ここが自分のホームタウンだと安心感を持って毎日を過ごせています。仕事、仲間、地域に対する真摯さは、これからも変わらず守っていきたいですね」。

 脈々と受け継がれてきた経営に対する姿勢が加藤数物の礎となり、事業の安定感や職場の安心感へとつながっているのです。

事業の枠を広げたエンドユーザーとつながる挑戦

 技術や想いを引き継ぎながら、晶平さんはプレス加工の技術を生かした新たな可能性も模索しはじめました。

 「加藤数物はずっとB to Bの仕事をしてきました。技術を必要としてくださるお客様もたくさんいます。ただ、その枠にとらわれずに、直接エンドユーザーの方に製品やサービスを提供する仕事をしたっていいですよね。働く人たちにとっても、新たな事業が日々の刺激ややりがいになると考えたんです」。

 そうしてスタートさせたのが、オシャレな金属製スプーンを作るワークショップでした。子どもの頃からキャンプ好きだったという晶平さん。自分自身の経験と趣味を生かしながら、アウトドア用のスプーンが作れるプログラムを考えました。未知の領域への挑戦に、はじめは手探りの部分も多かったといいますが、回を重ねるごとにワークショップ運営のノウハウも身につきました。今では、日本全国のマルシェやものづくり系、アウトドア系のイベントに出展し、いつも行列が途切れないほどの賑わいをみせています。

ワークショップからさらなる可能性が生まれた

 ワークショップをきっかけに、新しい取り組みにもつながりました。自分たちがイベントへ出向くだけでなく、自社工場でものづくりの現場の見学とセットにしたプログラムなどを実施。また、お子さんのお食い初めにオリジナルスプーンを使いたいなど、お客様から問い合わせや相談がくるようにもなりました。

 さらに、「k+」というオリジナルブランドもスタート。ファーストプロダクトとなったのは、ワークショップで人気を博したアウトドア用スプーンです。オリジナル製品の企画、ブランディング、広報物の制作などは、晶平さんを中心として社内で進められています。プレス加工を得意とする町工場から、幅広い事業を展開する企業へと進化を遂げている最中です。

「楽しそう」が最初のヒント

 新たな事業をスタートさせたことで、これまではなかった喜びが晶平さん自身にも生まれています。

 「ワークショップでは、スプーン作りに夢中になり、完成したら嬉しそうな笑顔が見られます。長年磨かれてきたプレスの技術を生かして、『便利だ』『オシャレだ』と思ってもらえるものをもっと考えていきたいです。暮らしに寄り添った製品を提供できる会社にしていきたいと考えています。自分が楽しそうだと思ったらやってみる。どんな事業でもこれが最初の一歩です」。

 心が動いたら、体もすぐに動かす。それが、フットワークの軽い加藤数物のペース。アイデアを積極的にカタチにしていく取り組みが、老舗企業に新たな風を吹かせています。

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