2025年5月24日(土)、神奈川・平塚と藤沢の2市を舞台に「家業イノベーション・ラボ in 湘南」が開催されました。参加者は家業後継者だけではなく、官公庁の職員、起業家など、様々なセクター、業種、世代を越えた70名にご参加いただき、熱量の高いイベントとなりました。
精密板金加工業 株式会社タシロの工場見学では、秒単位で行う段取り替えや大胆な自動化設備が披露され、参加者から感嘆の声が上がります。そしてお昼ご飯は弁慶果樹園でみやじ豚BBQを楽しみ、午後はJR藤沢駅前のロボット企業交流拠点 ロボリンクに移動し、豪華ゲストによるトークセッション、AIの業務活用に関する意見交換と生成AIを活用した「AI先代」、そして夜は“イノベーションスナックみらぼ”で交流が続きました。まさに「学びとつながり」を丸ごと詰め込んだ濃密な一日を振り返ります。
工場見学で感じた“現場力” ── タシロ流・秒で変える段取り
第一部は本イベントの発起人である株式会社タシロ 代表取締役社長 田城功揮さんの会社と工場を見学。田城さんが自らラインを案内し、加工データのクラウド一元管理やAGV(無人搬送車)との連携による「止まらない板金工場」の仕組みを解説しました。
参加者からは「自社の課題が浮き彫りになった。改善のヒントを丸ごと持ち帰れる」との声も。板金というニッチな世界でも“秒”単位で段取りを変えるスピード感が、家業を拡張する武器になると実感する時間となりました。
お昼ご飯は弁慶果樹園で、みやじ豚BBQ!
ランチタイムの第二部は、皆さんお待ちかねのみやじ豚BBQ。家業イノベーション・ラボを共催し実行委員でもある宮治勇輔さんのイベントに合流し、30名を超える大所帯でみやじ豚の美味さに感動しながら交流を楽しみました。
トップランナー2人が語る「家業を伸ばす秘訣」
第三部のトーク&交流イベントでは、特別ゲストに由紀ホールディングス代表・大坪正人さん、三星グループ代表・岩田真吾さんをお招きしました。
由紀ホールディングス・大坪さんは、航空・宇宙・医療へ事業を集中させてきた歩みを紹介し、「家業だからこそ、“この分野を獲る”という視点で投資できる」と強調。参加者からは「長期視点での経営の胆力が刺さった」との感想が寄せられました。
三星グループ・岩田さんは、noteに書き溜めた記事を学習させた AI Shingo を披露しながら、「コミュニティを作って終わりではなく、とにかくアクションを起こすことが大事」とエネルギッシュに語ります。質問タイムでは地域を巻き込む秘訣や世代交代のリアルが飛び交い、会場は大いに盛り上がりました。
“AI先代プロジェクト”で見えた承継の新しい形
グループディスカッションでは、岩田さんが提案した 「AI先代プロジェクト」 が話題に。タシロの先代社長である田城裕司会長の語録を学習させた AI 裕司を試作し、後継ぎたちが先代の意思決定を仮想対話で学ぶデモを実施しました。生成AIを使った“バトンタッチ”の新手法に、「AI×承継の可能性を体感。社内でも試したい」という声が続出。家業とテックが交わる瞬間を共有する場となりました。
イノベーションスナックみらぼで交わった“越境”の種火
第四部は、田城さんが毎月第4金曜日にママを務めるイノベーションスナックみらぼに移動し、打ち上げ!家業後継者、官公庁の職員、起業家らが肩書きを外して語り合いました。第4部のみの参加者も多く、名残惜しくも夜は更け、湘南エリアでのセクターを超えた交流が生まれた一日も幕を閉じました。
参加者の声 ※事後アンケートより抜粋
「いろいろな立場のディスカッションが聞けて楽しかった!」
「タシロ訪問で自社に足りない点が見えた。改善につなげます」
「岩田さんのボイスメモ活用が目からウロコ。即真似したい」
「AI×事業承継の掛け合わせが面白かった。プロジェクト参加を検討中」
「家業イベント初参加。同じ境遇の仲間に出会えて心強い!」
※回答17件。イベント全体の平均満足度は 4.7/5、トークセッションは 4.8/5 と高評価でした(家業イノベーション・ラボ実行委員集計)。
“めぐり会い”が生んだ 後継ぎたちの学びと挑戦。
“家業の未来は、閉じた家業の中ではなく めぐり会いの外側にこそある”――。そう確信した一日でした。AI もコミュニティも、本質は “まず動いてみること”。ここで交わった火種が、1年後には全国各地で灯火となっているはずです。次回イベントでの再会をどうぞお楽しみに!