家業イノベーターとこれからの日本の家業について話し合う「家業イノベーション・サミット」

家業イノベーション・サミット

2020年の家業イノベーション・ラボの活動を締めくくるイベントとして、12月19日に「家業イノベーション・サミット」を実施いたしました。

第一部では、これまでの活動の中で見えてきた家業にまつわる課題とその解決策の方向性をまとめた「家業イノベーション・ラボ白書」のご紹介や、インタビューに協力頂いた方々とのトークセッションを実施しました。

第二部では、これからの日本を担う家業後継者の皆様と「日本全体で家業を盛り上げていくために必要なこととは?」をディスカッションする場を設けました。

第三部はオンライン懇親会を行い、皆様が抱える悩みに関するお話や、今後の家業イノベーション・ラボで実施していく施策についてのアドバイスなど、多岐にわたるお話をざっくばらんに行いました。

第一部

第一部にご登壇頂いた、第一フォーム株式会社代表取締役の澁谷 正明氏からは、1箱販売し1円の利益にしかならない薄利多売の発泡スチロール加工業において、デザインやアイディアや加工技術を加えて付加価値の高いビジネスを創出したお話を頂きました。
他社と同じことをしていても儲からないとのお考えから、展示会で面白いオブジェや人目を惹くものを作れないかと着目し、イベント業者、看板業者、展示会のブースを作る業者にアプローチをして、そういった展示物などを発泡スチロールで制作する提案を広げていかれたとのこと。自社で価格決定権を持つためにどのようにすれば良いかを考え、そこに対する努力を重ねられて、徐々に薄利多売の構造から脱することができたとのことです。

続いて平和酒造 山本 典正氏からは、どのようにして組織のマネジメントを変更し、離職率を下げたのか、といったお話を頂きました。元々酒蔵は職人気質の方が多く、後輩に対して技術を教えない体質であったところを、そのままでは会社が成長していかないと考え、様々な施策を講じられたとのこと。情報共有のためのマニュアルを作られたり、社内のメッセンジャーグループで情報の見える化を図ったり、社員と会社の信頼関係を構築するために、社長が考えていることを古参社員に積極的に開示し、また外部の人材を入れてマネジメント教育を行っているなど、様々な取り組みのお話を頂きました。

さらに、2020年の活動に参画頂いた家業後継者のお二人からは、ご自身が企画を担った「オンライン社会科見学」についての感想と、参加者として参加した「事業ブラッシュアップ会」についての感想を共有して頂きました。

第二部~第三部

続いて第二部では、参加者の皆様でブレイクアウトルームに分かれてのディスカッションを行いました。

「これからの時代において、日本全体で家業を盛り上げていくために必要なこととは?」をテーマに、家業後継者の皆さま同士で様々な意見を交わしました。

ある参加者の方からは、「一歩踏み出すことが出来ていない方は、勝手に自分でハードルを上げてしまっているからではないか?チャレンジするハードルをもっと下げていったら良いのではないか」といった意見も出ました。

また別の参加者の方からは、これからの家業を盛り上げていく要素として、・これから継ぐ人が可視化されること・家業の尊さをアピールする・事業を続けていくことの素晴らしさをアピールする・続けるために時代に合わせたイノベーションをしてきていることを広く伝える、といったお話が挙がりました。

その他にも人材面での問題点や、家業経営者がそもそも多忙すぎること、またこういった様々な業種の人が集まって話す場の重要性などについて、ディスカッションが行われました。

第三部は懇親会としまして、参加者全員でのオンライン飲み会を行いました。

これまでの家業イノベーション・ラボの活動に参加頂いた方と、今回初めて参加頂いた方とが入り混じり、お互いの事業についての話や、今抱えている悩み、それぞれの企業で工夫している点やイノベーションを起こすために必要なことなどについて、語り合いました。

2020年はコロナの影響があり、家業イノベーション・ラボの活動もオンライン化を余儀なくされ、当初の計画とは大きく異なる形での実施となりましたが、結果としてはこうして全国の家業の方が気軽に参加できる場を作ることができ、今後の可能性が広がった一年でもあったと感じます。

2021年も、更に活動を進化・拡大し、全国の家業後継者の皆様がイノベーションを生み出す助けとなる場として運営をしてまいります。ぜひ、皆様の参画をお待ちしております!