石見麦酒の創業者山口厳雄さんによる「一日の〆(シメ)に彩を与えるクラフトビールの 『マジック・アワー』」

2019年2月22日(金)に家業イノベーション・ラボ主催による「一日の〆(シメ)に彩を与えるクラフトビールの『マジック・アワー』」を石見麦酒(島根県江津市)の創業者山口厳雄さんと共に東京・二子玉川 蔦屋家電にて行いました。開催のきっかけは、昨年10月に島根県の雲南市で「家業イノベーションCAFE」を開催した際に山口さんには登壇者としてお越しいただき、家業に関することや現在チャレンジされているクラフトビール作りについて伺いました。その際にビール作りへの熱意や豊かな発想力、チャレンジ精神に深く感動し、島根県に限らず多くの皆さんにも聞いてほしいという思いで、イベントの実施を決定しました。

「石見麦酒」は島根県江津市を拠点に2015年からビールの生産、販売を行っています。従業員3人、約9坪の小さな醸造所ですが、2年強で生み出したビールの種類は150種を超えるそうです。創業者の山口さんは岩見麦酒を立ち上げる前に、実は、家具製造を営む家業を継がれました。箪笥製造を専門とした家業とビールとはまったく無関係のようですが、そのきっかけこそ、家具製造の技術との繋がりが深いことが分かりました。何でも、ビール製造を夢見た山口さんは色々なアイデアを形にすることが大変得意で、その強みを活かしながら、例えば箪笥作りのノウハウを活かしたパンの種の発酵箱作りを始めたり、また、緻密さを求められる養蜂用の特殊な箱の製造を行ったりと、技術力が認められては様々な木箱作りの注文が増加したそうです。また、大学時代にキノコ菌の研究をとても熱心にしていたこともあって、その興味の行き先がクラフトビールになったとのことです。山口さんは、温度の管理が比較的簡単とされるチェストフリーザー製法に出会い、家具製造技術を活かしたクラフトビール作り専用の什器と、その中にポリ袋を使った簡単でコストのそれほどかからない「石見式」という国内初の醸造法を確立。

山口さんのクラフトビールの特長は、ユニークかつこだわりある味を生み出す技術にありますが、併せて面白い点として、日本各地の多くの農家の方たちと連携し、みかんやなし等の農産物を積極的に副原料として取り入れていることです。味は良いのだけれども規格外で流通できない美味しい果物などを、個々の農家から取り寄せ、その農家オリジナルのクラフトビールとして、商品化する仕組みだそうです。これは、小ロットでも醸造可能とした独自什器によって、オーダーメイドによる様々な味のビール作りを行っています。

山口さんにプレゼンテーションいただいた後に、ご用意いただいた6種類のビールと2種類のシードルを参加者みんなでテイスティングしました。どれも美味しかった、という声が圧倒的に多く聞かれました。山口さんはビールの味だけでなく、ラベルデザインへのこだわりも強く、写真の通り、カラフルかつおしゃれなラベルの瓶ビールです。見た目がとても良いので、楽しい気分になります。

イベントに参加いただいた方たちからは、「発想の展開と行動力がすごい」、「ビール醸造の会社だと思っていたのですが、地元農家との連携等、色んな形でビジネスを発展させているところが参考になりました」、「好きなことをビジネスにという言葉が良かった。また、これがだめなら、次何ができるかという前向きな考え方を教わり、励みになりました」といった感想をお聞かせいただきました。山口さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。次回もまたユニークな取り組みをされている家業イノベーターをお招きし、イベントを開催する予定です。是非楽しみにしていてください。