【家業×副業人材事例記事】看板商品の新規顧客・マーケティング開拓に向けて外部人材を活用!

常磐精工株式会社の喜井翔太朗さんは、家業イノベーション・マッチングを活用して、2022年12月より副業人材を受け入れました。
(参考 求人ページ:「手掛ける商品は2,000種以上!老舗看板メーカーの新しい価値提供に挑むマーケティング戦略を考える方を募集!」https://yosomon.jp/project/3366
副業人材1名とマッチングし、プロジェクトを進めました喜井さんに、YOSOMON!副業人材を受け入れた背景と、受入後の反響について、お話を伺いました。
■家業イノベーション・マッチング概要:https://kagyoinnovationlabo.com/about/matching/

家業に副業人材という新しい戦略を

——まずは常磐精工の成り立ちと特徴を教えてください。

弊社は今年で創業58年目。祖父が創業した会社で、現在は父が代表取締役を務めています。
1964年にフォークリフト用ベアリング加工業として創業しましたが、1998年に下請けを脱却し、
テントやタープに使用する金属製の棒状パイプを自立させる脚部を開発。アウトドア業界に参入しました。

この時開発した「棒状のものを自立させる脚部構造」で特許を取得。
それを足がかりに園芸用スタンドや生花用スタンドを開発し、2001年には商業施設等で使用するスタンド看板も開発。
自社製品のラインナップも少しずつ増やし、今では2,000種類を超える商品を展開しています。

なかでも2016年に大阪公立大学と共同開発した「救護器具兼用看板 サポートサイン」は、
スタンド看板に緊急時に怪我人を搬送できるストレッチャーの機能を付加した新発想の商品として多くのメディアに取り上げられ、
実際にイベントの緊急時に活躍しました。(https://www.tokisei.co.jp/?mode=f8
また新型コロナウィルスが流行した際には、飛沫防止パーテーションや消毒液スタンドも開発。
感染症対策ツールとして累計10万台を超える導入実績を得られました。

僕自身は8年前に家業に戻り、現在は外部デザイナーとも連携してTo C向けのアウトドア家具・椅子、フィットネス器具など、看板以外の商品開発も担当しています。

——今回、副業募集をしてみようと思った背景を教えてください。

大きな応募のきっかけとしては、そもそも副業人材を活用してみたいという気持ちがあったのが1つです。
もう1つは、看板商品であるサポートサインをかれこれ7年かけて販路開拓を進めてきたなかで、なかなか購入台数が伸び悩む時期もありました。
そのため、まずはサポートサインがあることを知ってもらうことから始めてみたいと思い、
それに対する情報発信や、従来活用していたECサイトの運営、販売戦略作成に向けたマーケティングなどを行っていただける人材を外部人材として探していました。

——実際に募集を行って応募者の方と面談をしましたが、どのような印象でしたか。

今回、募集で出逢った方は、常磐精工がある大阪府堺市の出身で、現在のお住まいも比較的近く、とても機動力がある印象でした。
また自分自身の年齢も近かったこともあり、上手くいけそうな印象を持ち、採用しました。

3か月で新規顧客100人へのリーチという成果

——外部人材の方とは、どのようにプロジェクトを進めていきましたか。

3か月という短い契約期間でどこまでいけるか分からない部分もあるなか、当初は販売体制の整備やECサイトの構築まで出来たらという話をしていました。
そのうえでまず最初の1か月は、サポートサインの販売実績200台について、どういうユーザーに売れているのか、
ユーザーの中にどういう潜在ニーズがあるのかを徹底的に調べていただきました。

そうして分析を進めるなかで、販売よりも商品認知を高める広報に注力する方がよい、という話になり、どういう広報をすべきか、広報戦略を考えることになりました。
広報の一環でSNS広告・Google広告の運用なども実施。ABテストなどをしてリーチ拡大に向けたトライ&エラーを行いました。
外部人材の方に改修いただき、LP内で資料ダウンロードできるようにもなりました。

1か月運用してみると、結果的にGoogle広告よりもSNS広告のほうが効果があることが分かり、
SNS広告のリーチ拡大に向けた運用分析を行いまして、そこで一旦外部人材の方との契約は終了となりました。

顧客によるサポートサインの購入というゴールまではたどり着けませんでしたが、3か月で100人の新規顧客にリーチできました。
コンバージョン率を見ても、展示会出展よりもコスパがよく、また自らクリックし資料ダウンロードしていただくような、確度が高い100人の顧客にリーチできました。
契約終了後は、得られた新規顧客を中心にフォロー電話やフォローメールをするなどして、購入に向けたリレーションづくりを行っています。
今後は新規開拓した顧客が商品購買にどうつながっていったか、その相関性なども分析できたらと思っています。

また、その方は契約終了後も個別に連絡をする仲になり、大口契約が取れた際もお祝いのメッセージをいただきました。
仕事にもとても熱心に関わってくれ、今後も引き続きまた何かあったらやりましょう、という話をしています。

——最後に今後の展望を教えてください。

副業人材を活用したからかはわからないが、サポートサインが生まれてから7年経った今年、一括50台の大口受注があったり、
堺市総合防災センターにサポートサインを設置してもらえるようになるなど、サポートサインの売れ行きが良くなってきています。
堺市総合防災センターは年間4万人来場する施設で、災害発生時は救急車など公助がままならない可能性もあるなかで、
看板でありながら救護器具にもなるサポートサインは市民が力を合わせて自らを助けていく自助の取組にもつながると評価いただき、採用いただきました。

僕自身、来年夏に事業承継を予定しているなかで自助・共助を支える仕組みづくりを進めて行くと共に、これまでBtoB商品が中心であったなかで、
近年はオープンファクトリーとして常磐精工工場を一般開放したり、「工場で出る残材を活用したアート体験イベント」を開催するなど、
To C向けに「モノづくりを近づける」取組も進めていきたいと思っています。

DXが進む現代、自動化しすぎると手触り感のあるモノづくりが味わいづらいという声も聴くなかで、
常磐精工はちょうどよい具合に設備が整っており、新入社員からも「ここまで、ものづくりの製造を自分でできると思っていなかった」と言われたこともあります。
実は意外に完成品までつくれるメーカーって少ないんですよね。
今後は外部デザイナーも巻き込みながら、キャンプ用の机やフィットネスマシーンなどの商品開発に注力していきたいですし、
こうした一連の動きの中で外部人材もどんどん活用していけたらと思っています。

自分が携わったモノづくりのモノが実際に使われているシーンを見たとき、純粋にとても嬉しく感じたあの経験、ものづくりの楽しさや、
そのやりがいを常磐精工に来たら感じられるというプラットフォームづくりを今後も外部人材をうまく活用しながら、つくっていきたいと思います。