【家業×副業人材事例記事】考えを洗練させてくれ、実装までを推進しくれる右腕的パートナーとともに

共栄建設株式会社 取締役総務部長の松井大樹さんは、家業イノベーション・マッチングを活用して、
副業人材とともに建設業向けのDX推進方法の企画と社内で実践導入に取り組んでいきました。
(参考 求人ページ:「『子供たちの未来への道をデザインする』を仕事に。共存共栄を大切に60年、共栄建設の新しいしごとをつくりたい!」https://yosomon.jp/project/3406
今回は、松井さんに副業人材を受け入れた背景と、受入後の成果などについてお話を伺いました。
■家業イノベーション・マッチング概要:https://kagyoinnovationlabo.com/about/matching/

変えていくことを一緒に楽しんでくれるパートナーを求めて

——まずは御社について教えてください。

共栄建設は静岡県・浜松市役所等より発注される公共土木工事を中心に営業展開を計り、多種多様な工事を請け負っております。
また、民間による工場用地及び宅地の造成工事ならびに駐車場造成・舗装工事の受注にも力をいれています。
現在は父が経営しており、僕は取締役として父の会社経営をサポートしています。

元々僕自身がIT企業に勤めていたこともあり、当社に入社後は徐々に既存業務にITを取り入れていきました。
ホームページの刷新、ブログサイトの立ち上げ、各種SNSの整備から始まり、ITを活用したインターンシッププログラムの開発など
あの手、この手で他社との差別化を模索していきました。
最近では、国も推進している3D技術を使ったICT施工の内製化を目指し、機材やソフトウェアへの投資をし始めています。

毎年まではいかないものの、未経験の方や若手が入社してきてくれるようになってきたのはとても嬉しいことである反面、
入社してくれたメンバーがイキイキと働けるようにもっと周りから評価される会社に変えていきたいという想いが強くなっていきました。

——なぜ「家業イノベーション・マッチング」に参加しようと思ったのですか?

自社の現状と建設業の今後を見据え、「①他社との差別化」、「②若手へのアピール」、「③自分が熱量を持てる」をポイントに
これまで考えをめぐらせてきたのですが、本業も忙しく一人で推進していくのは限界を感じはじめていました。

そんなときコーディネータであるOWN WAYの杉山さんから家業イノベーション・ラボに誘っていただいたのが本プログラムを知るキッカケになりました。
いきなり専門人材を正規雇用するのはコスト含め色々なハードルが想定されますが、副業という形だと一定期間、専門人材をレンタルできるような気軽さもありました。
杉山さんに応募要件をヒアリングして頂きながら、求人票を作成頂いたので僕のまとまった工数は不要でしたし、
コスト面の補助もあり、スタートを切るまで非常にスムーズだったと記憶しています。

何よりも僕と同じようなアトツギの方々が、同プログラムでチャレンジングな取組みをされていたことが、とても良い刺激となりました。

—— エントリー者との出会いはいかがでしたか?

6名エントリーいただき3名の方と面談を実施しました。
実際の面談では自分が目指していきたいことや現在の構想などを話すことが多く、面談を通してさらに自分の頭の中が整理されていくのを感じました。
それぞれ専門も経験も三者三様なので面談をするたびに自分の興味も考えもブラッシュアップされていく感覚がありました。

どの方も経験豊富で力を発揮していただけるかなと思ったのですが、今回は1名に絞り込みました。
ご参画いただいた田中さんは、目指していきたいことへの共感度が高く、ITの経験も豊富な方でしたが、
何よりも一緒に楽しんで取り組んでくれそうな姿勢にひかれました。

DX推進プランの具体化と自社での実装

——副業人材とはどんなことに取り組んでいきましたか?

打ち合わせ当初は、3D技術を使った子供達のイベント開催や業界横展開を見据えたシステム開発プロジェクトなど、
まだまだボヤッとしていた構想を壁打ちしてもらいながら、僕と田中さんが進めるならどのプロジェクトで効果がでやすいか相互理解を深めていきました。

日々、Slackを活用して意見交換をし、週1回のオンラインミーティングは20分~30分の一本勝負で細かい認識のすり合わせと次週のタスク決めを行っていきました。
原則、会議進行や議事録、タスク設定も田中さん主導で行ってくれたので、こちらがマネジメントに使う工数はほぼゼロ。
他者の仕事の仕方を学ぶと言う意味でも、プロジェクトの進め方一つ一つにも学びがあったと思います。

議論を交わして行く中で、僕のバックボーンでもある”IT”を主軸に、
まずは共栄建設のDXを推進して他社にオススメできるくらいの結果を出そうという方針を打ち立てました。

——副業人材と取り組んだ3ヶ月間は具体的にどんなことですか?

<1ヶ月目>
僕が感じている建設業界の課題を洗い出しながら、やりたいことを改めて議論・整理していきました。
3ヶ月間という期限をもうけての活動だったため、その中でのゴールも意識しながら選定していきました。
1ヶ月目は建設業の根底課題である「担い手不足(入職者が少ない+育てられない)」に着目し、
若手技術者交流を目的とした技術交換・勉強会の開催、そこをキッカケとした若手技術者コミュニティの創出をまず検討してみることから始めました。

<2ヶ月目>
僕が抱いている課題とその解決方法の精度を確かめるべく、2社にヒアリング依頼をし、課題と打ち手の確からしさを検証しました。
結果、他社も同じ課題があるものの、打ち手の確からしさについては決め手を欠いたこともあり、
ヒアリングの中で両社ともに直近の課題としてあがった「建設DX」に焦点をあてはじめました。
僕も当初から「建設業の不要な不安をなくす」ITシステム構想を持っていたこともあり、まずは自社で実践導入していこうと、具体的なシステムの検討を進めました。
できるだけ「安価に、手軽に、スピーディーに」ということを考慮して、Notionを活用していく方向性に定めました。

<3ヶ月目>
当社がSalesforceでCRMの検証を実施していたこともあり、Notion上でそれに近いものができないか検討を開始しました。
そこからの田中さんの構築は非常にスピーディーでNotionの標準機能であっという間に案件管理システムの構築が終了し、
続いて案件管理システム上に登録した経営数字のダッシュボード化に検討をうつし、Looker Studioを採用することで数日後には構築を完了してくれました。
このスピード感はとても一人ではできなかったと感じています。

ベータ版ではありましたが、短期間のうちに案件管理システム、経営ダッシュボードの構築が完了できる目処がたち、この手軽さはかなり魅力的だと感じています。
実際、今回試したツールはすべて無料で利用できるので、今後、ワークショップ等で他社へも展開できると考えています。

——松井さんにとって今回はどのような機会になりましたか?

参加前は、DXにチャレンジしていこうという気持ちはあったものの、どのツールを活用してどのように進めていくかまでは、具体化できていませんでした。
今回、副業人材の田中さんが僕の考えや想いを上手に汲み取り、具体化してくれ、さらには実装までして頂いたことに深く感謝しています。
まさに僕の右腕的存在として大いに活躍していただけました。

今回の機会で、DXプロジェクトの最初の歯車を回し始めることができたので、このまま歯車を止めることなく、今後はさらに加速させて行きたいと思います。
また次のフェーズで新たな副業人材の方との出会いがあれば嬉しく思います。