福岡に続き、今回の「家業イノベーションCAFÉ」は大阪で開催しました。5人の家業イノベーターがそれぞれの家業への想いを語り、その後20名近い未来の家業イノベーター(参加者)と熱く意見を交わしました。
創業60周年、株式会社鈴木靴下の鈴木みどりさんは3代目跡取り娘。前職はCAだったこともあり、生活は激変。夢は“消臭ストッキング”の開発だとか。「世界の人を足元から幸せに」を理念に掲げ、家業にまい進中です。
写真)鈴木みどりさん
創業104年目、カタシモワインフード株式会社醸造部の高井麻記子さんはブドウ農家の5代目。なんと西日本に現存する最古のワイナリーなのです。もともとはエンジニアとして東京で活躍しており、家業に興味がなかったという高井さんだが、故郷の衰退を見過ごすわけにはいかず、結局実家にもどることを決意。「ブドウ産業とワイン作りを次の100年につなげる!」と話す高井さん。その熱い想いはぐいぐい人を惹きつけました。
中尾食品工業株式会社 代表取締役社長 中尾友彦さん。会社はもともとコメ農家で、1927年に中尾商店設立。取締役として家業についてから半年後、25歳で代表の座に就いた若きイノベーターです。今は主力商品で日本古来の伝統食品“こんにゃく”を外国人にも味わってもらいたいと夢を語りました。
写真)中尾友彦さん
明治34年創業。100年の歴史を誇る株式会社前田精密製作所の前田真さんは、前職は楽天。今は超小型歯車など、”精密小型部品製造”の家業をついだ。その製品は宇宙衛星や航空機などに使われているといい、「町工場をテクノロジーで革新する」のが、今年のテーマだそう。まさに”日本技術の粋は中小企業から”、を地で行きます。
そして最後は酒造業界の風雲児、平和酒造株式会社代表取締役専務の山本典正さんは4代目。急速に縮小する日本酒市場にあって、次々と新商品を開発、製造だけではなく人事でも新卒採用を初めて行うなど、経営を革新し続けています。純米大吟醸“紀土”は国外最大級の日本酒コンテストで2年連続リージョナルトロフィーを受賞しているばかりでなく、若手蔵元とのネットワーキングにも熱心に取り組む山本さん。趣味はマラソンです。
後半は恒例、参加者と家業イノベーターとの意見交換会。取り上げられたテーマは①「脱家業」 ②「家族とのコミュニケーション」 ③「これから継ぐ人」の3つ。なにせ“家業”ゆえ、「家族とのコミュニケーション」の議論は大盛り上がり。ワイン農家の高井さんは、「父親のプライドは守らなくてはだめ。リスペクトは必要です。」と議論の核心をズバリ。精密機械の前田さんも家業を継いでから、「親父はすごかったのだな。」と思えたのは良かったと振り返るなど、”先代の努力に敬意を払う”ことは最低限必要なようで、参加者も強くうなずいていました。
①の「脱家業」については、従業員に対して情報をオープンにして いくことが重要という意見が出ていました。社内で継いだ人間が進める改革・革新が”ネガティブにとらえられないようにする”配慮が求められるということなのでしょう。
③の「これから継ぐ人」のテーマに参加していたのは大学1年生の 宮田汐梨さん。実家はプロパンガスの販売です。高校生の時から家業を継ぎたいと思ってきた宮田さんは今回先輩らの話を聞き、「家業ってすごく責任が重いんだな、と思いました。」と正直な思いを口にしながらも、家業を継ぐまでにやるべきことのヒントをつかんだようでした。
写真)参加者の一人宮田汐梨さん
当日の模様は、動画でもご覧いただけます。