群馬県桐生市にある全国でも珍しい駅併設型の温泉施設「水沼駅温泉センター」専務取締役の神山さんへ、経営革新プログラムに参加した理由や人材受け入れ後の影響について、インタビューを行いました。
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想いで繋がれた気がしたのが決め手
――プログラムの応募に至った経緯を聞かせていただけますか?
同じ地域に住むコーディネーターの岩崎さんから今回の家業革新プログラムの存在を教えていただいた事がきっかけでした。外部人材を受け入れるという事は今まで思いつかなかった手法でしたが、なにか面白い事が起きそうな気がしたのですぐにやってみよう!と思いましたね。
――応募時点での自社の状況はどのようなものでしたか?
コロナ禍で今まで受け入れていた観光関連のお客さんがほぼゼロになり大打撃を受けていました。何か手を打たなくてはと常に思ってはいましたが、何からやっていいかわからない状態でした。
――応募も殺到して、結果合計5名の方と面接をされましたがいかがでしたか?
逆にこちらが面接されているような気分になりましたね(笑)
どの方も素晴らしい経験やスキルを持っていらっしゃって本当に採用に悩みました。
実際に応募者の方と面接するまではどこか副業人材の方に甘えたり期待していた気持ちがあったのですが、やはり一番大事なのは受け入れる側の自分が本気になることだと気づきました。せっかく来てくださる副業人材の方にも失礼にならないよう本気で挑もうとギアが上がったのを覚えています。
――最終的にAさんに決めた理由は?
想いで繋がれた気がしたのが決め手です。面接での言葉の端々から、この地域の背景や住む人々に合わせた提案をしてくれそうな気がしました。今後の経営の「核」を考える上で、ひとりよがりにならずに地域と共存していく考えを伝えてくれました。 コロナ禍で経営が厳しい中、地域に支えられているということを強く再認識していました。そんな自分にとって地域と共に革新を起こして成長していくというのは絶対条件だったので、Aさんとだったら一緒に走っていける気がしましたね。
目から鱗が落ちました
―― ブラッシュアップ会にも参加されましたがいかがでしたか?
すごいダメ出しをされるのではないかとビクビクしていました(笑) しかし実際メンターの方とお話しをさせていただき、結論からいうともの凄く有意義なブラッシュアップ会になりました。
―― どのように有意義でしたか?
まず驚いたのがメンターの方々に全てを見透かされていたこと。「駅に併設している温泉施設」という一番分かりやすい強みから目を逸らし、付け焼き刃的に色々な企画を試していた自分を言い当てられました。まさに目から鱗が落ちましたね。
「まずは本業の温泉に力を入れてみなさい」というメンターの方の言葉は今でも強く残っています。ブラッシュアップ会を通してあらためて自分と自社を見直して、自分の施設への愛着が取り戻せました。
―― ブラッシュアップ会を通じて人脈も広がりましたね
私と同じ温泉施設経営者の方とつながることができました。その方の紹介で「100のありがとう風呂」という企画を弊社でも開催しました。地元のメディアにも掲載いただき、今後も定期的に続けていきたいと考えています。
「外部人材」のインパクトを感じました
―― 実際にどの様にプロジェクトはスタートしましたか?
副業人材の方に実際に現地に来ていただき、社長とコーディネートの岩崎さんと一緒にキックオフミーティングを開催しました。
施設の紹介をするとともに、地域も一緒に見て回りました。今後の経営方針を決めていきたいと考えていたものの、何から手をつけていいか全く分からない状態でしたが、Aさんからたたき台を提案いただけたのでそれを元に考えていく事ができました。
―― Aさんとはどのようなペースで関わっていかれたのですか?
現地には1〜2ヶ月に1回来ていただき対面でお話ししていました。その他は都度メールやオンラインミーティングで話をしていました。2週間に1回はオンラインで顔を合わせていたと思います。
―― Aさんから提案されたものはどのような内容でしたか?
従業員や地域住民へのアンケート調査や市場調査などの事業分析を行っていただきました。事業分析の中には、こちらの財務状況を全てさらけ出した財務分析も含まれています。その事業分析を踏まえて今後の事業計画案を提案いただきました。
―― アンケート調査の結果はどのような内容でしたか?
正直に言うとショックなものも多くありました。。自分では全く気づいていなかった「お風呂が汚い」「食堂がイマイチ」などの意見も寄せられていました。
――今後の事業計画の提案はどのようなものでしたか?
現在の財務状況や地域特性を鑑みて、優先施策を提案いただいたのが非常にありがたかったです。
まずはやれるところからやっていこうという気持ちになりました。また、提案の内容も決して地域や従業員を置いてけぼりにしない内容で、とても血の通った内容であるという印象を受けました。
――具体的にはどういったところから手を付けられるのですか?
まずは「施設のクリーンネス」に注力していきます。
財務状況的にも大きなお金はかけられないのですが、施設を綺麗・清潔にしていくことはできると思いました。もう「お風呂が汚い」というアンケート結果は出ないようにしたいですね。
また、普段から施設にどっぷり浸かっている我々では気づかない点があるので、よそ者の方に力を借りたいという気持ちからインターンシップの学生を受け入れてクリーンネス事業を進めていきたいと考えています。
――今後の展望を教えてください
このプロジェクトを通じて「外部人材」というもののインパクトを感じました。普段はなかなか聞きづらい従業員の生の声もAさんが引き出してくれました。社内の風通しが良くなった気がしますし、従業員が経営について少しづつですが自分事化してくれている気もします。弊社に外の血が流れた気がしました。なので、今後も外部人材という存在を有効活用できる会社にしたいと考えています。
――最後にひとこと
やっとスタートラインに立ったという気分です。これからが勝負ですので本気で取り組んでいきたいです。地域の玄関として地域を牽引できる会社になって地域全体を盛り上げていきたいです。
【コーディネーターより全体の感想】
初めての外部人材の受け入れに対して、神山専務は初めは半信半疑な部分もあったかもしれませんが、Aさんの人柄や本気度に触れて、段々と熱量が上がっていくのを感じました。常に地域や経営者に寄り添った提案をしていただけたAさんに感謝の気持ちで一杯です。
途中、神山専務が「できるならばずっとAさんに関わり続けてほしい」とポロッと言われたのが印象的で、本当に良い方とマッチングできたと思いました。スキルやビジネス上のつながりよりも、想いでつながれた証拠だと思います。
神山専務がおっしゃる通り、やっとスタートラインに立った状態です。同じ地域に住む者としてこの地域の発展には水沼温泉センターの革新は必須だと思っています。今後も伴走してサポートできればと思っています。
■家業経営革新プログラムの概要・その他の事例記事はこちらから
https://kagyoinnovationlabo.com/about/keieikakushin/