【家業×副業人材事例記事】新しい介護事業者のモデルになるために外部人材を活用する

株式会社ライフサポート山野 代表取締役の山野英治さんは、家業イノベーション・マッチングを活用して、2022年9月より副業人材を受け入れました。
(参考 求人ページ:「高齢者が生き生き暮らす社会をつくる!新規事業立ち上げプロジェクト」https://yosomon.jp/project/3022
副業人材1名とマッチングし、プロジェクトを進めました。 今回は、山野さんにYOSOMON!副業人材を受け入れた背景と、受入後の反響について、お話を伺いました。
■家業イノベーション・マッチング概要:https://kagyoinnovationlabo.com/about/matching/

小規模事業所のモデルになるような新しい事業へのチャレンジ

——まずはライフサポート山野の成り立ちと特徴を教えてください。

もともと茨城県水戸市で父のテニスコートから始まり、フットサル・スーパー銭湯・不動産管理の経営を行ってきました。
2012年に父と介護事業を立ち上げ、新しく会社をつくりました。創業時は、介護のことも経営のことも全くわからず、本当に苦労しました。

サービス付き高齢者向け住宅とショートステイの運営から、
私が代表になって、訪問介護事業所・居宅介護支援事業所を立ち上げ、在宅介護に特化した事業所運営を行っています。
ショートステイとして在宅での生活が困難になった緊急での利用や他施設での対応が困難な利用者など、
課題を多く抱えている利用者との関わりを多く持つことがありました。
自社の課題解決力には自信があります。

——今回、副業募集をしてみようと思った背景を教えてください。

もともと介護業界で働くなんてことは考えたことがなく、右も左も分からずに始まって、経営する立場になりました。
今では、この仕事にやりがいや愛着を持っていて、続けていきたい!もっと良くしていきたい!と思っています。

最近の介護業界では、2040年問題といわれる団塊ジュニア世代の高齢化が近づいてきており、介護のニーズは益々高まってきます。
人材不足や介護報酬改定での報酬減など、現状のままでは厳しくなってくることが予想されます。
規模を拡大して効率化することも求められますが、課題を多く抱える利用者さんに関わるなど細やかで特色あるサービスを提供していきたいと思っています。

そこで、副業人材を活用して新規事業に取り組み、小規模事業所のモデルになるような事業づくりを一緒にできないかと思いました。

——募集前の段階では、どのような新規事業を考えていましたか。

最初、私の頭の中では、3つの事業が思い浮かんでいました。
1つ目は「高齢者の就労支援(プロデュース)事業」、2つ目は「高齢者の仕事付き住居」、そして3つ目は「小規模介護事業所の支援事業」です。

最初の2つに関しては、やりがいを持って仕事をしてもらい、高齢者自身が生き生きと暮らせる社会にしたいという想いから作りました。
介護業界の私が言うのも何ですが、そもそも介護施設に入りたいでしょうか。介護施設に入らなくても、元気で生き生きと暮らせる方が良いと思っています。
核家族化が進み、高齢になると外との繋がりも段々と少なくなってきています。
そこで、高齢者が今まで培ってきたものを次世代につないだり、やりがいを得るための就労を行って、何歳になっても社会から必要とされる居場所をつくりたい。
また、免許返納などで、通勤も難しくなるため、トレーラーハウスを活用して、住居と共に仕事を提供できる環境を作りたいと考えています。

3つ目は、小規模介護事業所への人材確保や新規事業づくりなどを支援する事業です。
介護業界は制度ビジネスであるせいか、内向的な業界だと感じています。
実際に小規模介護事業所を運営している私たちだからこそできる課題解決や効率化を進めたいと想っています。

異業種だからこその視点でつくる新事業

——実際に募集を行って2名の応募者の方と面談をしました。どのような印象でしたか。

お二人とも面白い経歴を持つ方でした。
最初に面談した方は、大企業でマーケティングリサーチをされていて、社内で人材育成やコミュニティの立ち上げなどもしており、他で副業経験もあるようでした。
しかし、働いている会社の規模感も違っていて、数年かけてのプラン作りであれば良かったのですが、もう少し短いスパンで考えていたため不採用としました。

もう1名はITベンチャー出身の神谷さんという方で、規模が小さい会社でも働いてきており、距離感も近い印象でした。
そこで、神谷さんに副業をお願いすることにしました。

——神谷さんとは、どのようにプロジェクトを進めていきましたか。

副業は2022年の9月から始まりました。
9月の初めに水戸に来ていただいて、事業所を見学し、今後の方針について1日かけてディスカッションしました。
現状の課題整理や介護業界の未来像、私の想い、3つの新規事業案の検証などを行いました。
その後は、毎週オンラインMTGを通して内容を深めていきました。
神谷さんに主導してもらって、内容を整理したり調査したりしながら、更新していったスライドの枚数は100枚にもなります。

その中で「高齢者の就労支援(プロデュース)事業」に着目して、高齢者が作ったものに物語をつけて販売をするECサイトというアイデアが出てきました。
ただECサイトやメディア運営にはかなり労力がかかることから、商品をつくる高齢者の物語に注目し、自分史づくりという方向性にまとまりました。
自分史づくりの他社事例なども調査してもらい、具体的なサービス概要まで作成しました。
抽象的なテーマで始まったプロジェクトですが、ここまでを3ヶ月の副業期間で行いました。

その後、やるための資金調達に課題があって止まってしまっているのですが、神谷さんの方で事業化を検討していますね。

小規模事業所だからこそ外部人材を積極的に活用する

——今回副業をやってみて、山野さん自身や会社の中で変化はありましたか?

やはり外部人材との付き合い方、別業種の方だと特にですが、私たちにはない視点からのアイデアはありがたいですね。
神谷さんはIT出身ということで、実はミーティング中にも分からない単語があって、こっそり調べていました(笑)。
自分史づくりもイメージが沸きづらいこともありました。介護業界は内向的になりがちなので、積極的に色々と吸収していきたいと思っています。

副業は、プロジェクトの最初の立ち上げに良いですね。雇用するのは難しいし、リスクも高いので、小規模事業者ほど活用した方が良いと思います。
今回は初めての副業経験で、もっとプロジェクト内容を具体的にしておいた方が、うまくいくと感じました。
今度はプロジェクトを変えて、挑戦してみたいと思っています。

また、海外人材の受入も始めました。小規模事業者だと活用してないところも多いのですが、後手に回らないようにしています。

——今回の副業では、山野さんと神谷さんのお二人でのやりとりが多かったですね。現場の方も一緒に参加できると違ったかもしれません。

たしかにそれはありますね。
経営と現場仕事で手一杯になってしまうこともあって。もう1人社員を巻き込んで、出たアイデアは現場に任せてやってみることができると良さそうです。

誰にでも役割と居場所をつくる

——最後に今後の展望を教えてください。

高齢者の農業、農福連携のやりがいづくりをしたいです。
あとは、高齢者や外国人材などのコミュニティをつくりたいですね。高齢者だけでなく、外国人の方も料理を作って提供するとか。
そこに子どもたちも入ったり、多様な方の居場所がつくりたいです。

イメージはあるのですが、やはりビジネスにすることを考えると外部人材の力が必要です。今度はこのような内容で副業募集をしたいです。

あと、家業イノベーションアイデアソンにも参加しています。(4月18日(火)には中間報告会を開催します。https://kagyoinnovationlabo.com/4222/
他のところでは、介護のアイデアソンイベントもあるようで、開催してみたいですね。業界の方たちが外に出るきっかけづくりにしたいです。

介護の現場ではIT化などは遅れていると感じていて、業務改善や効率化にも取り組んでいます。
私たちが小規模介護事業者のモデルをつくって、広めていきたいです。
そのためにも、今後も積極的に外に出ていって、色んなことを吸収し、実践していきたいと思います。

■家業経営革新プログラム2023は4月30日まで参加企業募集中!
https://kagyoinnovationlabo.com/about/keieikakushin2023/