【家業経営革新プログラム】人事の専門人材がいない中小企業だからこそ必要な副業人材の価値

秋田県の県南に位置する羽後町(うごまち)で、創業62年となる株式会社小野建設。公共、民間の建設・解体工事をおこない地域のインフラを支えてこられました。2022年9月より、採用活動に更にチカラをいれたいと、YOSOMON!の副業人材を受け入れられました。(参考 求人ページ:https://yosomon.jp/project/1977)

3カ月間の取り組みに対し、副社長の小野人平さんに、副業パートナーを受け入れて感じたこと、外部人材を受け入れるメリットについてお話を伺いました。

今回の取り組みを社内全体に共有

――プログラムに応募した当時の状況と経緯を教えていただけますか?

現在、公共工事、民間工事の元請け、下請け問わず工事をおこなっており、昨年はアスベスト含有塗膜を除去できる装置を購入、この分野にも事業参入しました。新事業でも県内各所からお声がけいただけるようにもなり非常にありがたいことですが、一方で事業に携わる主力メンバーの多くは5年もすると、ほとんど退職の年となる状況もありました。事業継続には、人材の確保が大事になると気付き、数年前から採用活動にチカラを入れ、2020年卒の高校生を2名採用、次年度からも2名の新卒が決まりました。ですが、採用活動のほとんどを自分一人でおこなっており「業務量的に少し限界だ」と思うようになっていました。

副社長の立場ですが、現場を担当したり、営業もしたり、総務のこと、経理のこと、社長の代理で会合に出席するなど、様々な業務があり「採用活動は大事なことなのに手が回らない。これはちょっと大変だ」と感じていましたので、わたし以外の従業員が携わることで上手く回るようにしたいと考え、今回、副業人材の方に入っていただきました。

――何故、新卒採用にチカラを入れようと思ったのですか?

やはり事業を進めていくには、若い人のチカラがほしいということがありましたし、若い人が入社してくれる会社にしたい思いがありました。若い人に目を向けたとき、新卒採用ができる企業になっていれば、中途採用でも若い人を採っていけると考えていましたので、新卒で入社できる会社づくり、入社後も継続して働いてもらえる会社づくりを、まず頑張ろうと思ったというのが本音のところです。

――ブラッシュアップ会に参加した感想は?

従業員を巻き込むにあたり当事者意識を持ってもらうことと、社長や幹部、従業員とも課題を共有することが大切だとアドバイスをいただけました。採用や人材確保は会社全体の課題で、一人で悩むことではないと改めて感じ、社長や幹部にも今回の取り組みを伝え、社内全体に共有するなど動きました。実際、若手社員をメンバーに入れたことも、ブラッシュアップ会でアドバイスいただけたおかげで、本当にありがたい機会でした。

小野人平さん

採用活動もひとつの営業だと思い知らされました

―― 外部人材の募集として、複数の方と面談をされましたが、率直な感想は?

多くの方にエントリーいただき、YOSOMONの力は予想以上に凄いと思いましたし、たくさんの方にエントリーいただけたことが嬉しかったです。面談では、エントリーいただいた方から様々なアドバイスをいただけ、その多様さに驚きましたし、採用前でも当社の課題を真摯に受け止めていただけたことに感激しました。『日本を良くするためには、都市部だけでなく地方も良くならなければいけない。地方の中小企業を元気にしたい。このような想いがある人』『単にお金のための副業ではなく、熱意を持っている人』が、こんなにもいるのかと驚きました。

――副業人材の方を選んだ最終的な決め手は?

どなたも素晴らしい人ばかりでしたので、かなり悩みましたが、コーディネーターの方と相談し「初めての副業人材活用なので、話し易さ、フィーリングを重点においてはどうかと」アドバイスいただき、今回はそこを重視して、内田さんにお願いすることを決めました。

――プロジェクトが動き出し、これまの状況に変化はありましたか?

まずは、わたしと内田さんとで事前打ち合わせをおこない、その後チームで動かしてく形としました。幹部にも話を通してチーム選定し、総務から2名、現場職の若手から2名、わたしの計5名でチームを組みました。期間中の目標をまず決めたのですが、どう進めていいか分からずにいたところ、内田さんは、その状況も把握して上手くファシリテートくださり、計画を立て進められたので非常に心強かったです。開始直後は、計画よりも現状確認的に状況の整理もしていただけました。

採用活動の重要性も社員に対し上手くプレゼンができていなかったのですが、その部分も担っていただけ、メンバーに浸透させることもできました。戦略を練り、そこから戦術に落としこみ実践できていると感じています。

会社として大きく変化したところは今のところはないですが、採用に対する会社の取り組みが少し社内に浸透したと感じています。実際に関わっている総務の2名は、大事な仕事だと理解して他の社員にも話してもらえ、自分の役割やタスクに対ししっかりと取り組んでくれています。このような業務を今まで一人でおこなっていたので、複数で取り組めていることは力強く、自分の中では大きな変化と捉えています。理想は、採用活動の重要性を社員が理解して全社的に動けるようになればいいなと思っていますが、少しずつ段階踏んで進めていきたいです。

――プロジェクト開始後のご自身の変化や感想など教えていただけますか?

これまで取り組んできた採用活動を、社員といかに取り組めるかといったことを重点的に考えていましたが、内田さん一緒に取り組んでみて、採用活動もひとつの営業だと思い知らされました。営業ということはマーケティングして、ターゲットにアプローチしていくということで、まず自分の中で採用活動を甘く見てたことを反省しました。また、重要度は高いが緊急性が低いと後回しになってしまうことを、副業人材に入ってもらい無理にでも回してみると、隔週でおこなうミーティングをメンバーも意外と楽しみにしていて、メンバー同士で課題共有して採用活動を動かせていることを嬉しく思っています。

――副業人材の方に入っていただいた状況をどう感じていますか?

率直に「いいな」と思いました。例えば、内田さんと同じ程度の能力がある社員いたとしても、社内だと甘えが出てしまい「今、忙しいから頼むのが難しいかも…」と遠慮してしまうこともあると思います。ですが、外部から入っていただくと、ミーティングの日程を決め、この日にやりますということがあるので、期日までになんとしてでもやろうという意識を持てました。また、専門的なノウハウや幅広い情報をたくさん持っておられるので「この時はこうした方がいい」と、先生にもなってくれる頼もしい存在です。

――最後に今後の展望について教えてください

会社としては、やはり地域に必要とされ、社員が生き生きと働ける環境にしたいです。社員が迷うことのない仕組みづくり、それに対し社員の考えも尊重される会社にできれば強くなれると思います。

昨年から新事業展開して、先を見据えると益々人材確保が重要ですので、外部から内田さんに入っていただきました。今回、3か月という期間で、採用活動に必要なタスクを洗い出して役割分担しましたが、今後、今のチームで採用活動の具体的な動きを自社のみでおこなうことに少し不安を抱えていましたので、来年度の採用シーンまで引き続き内田さんに伴走いただくことをお願いしました。今後は、今の取り組みを継続して自走できる仕組みにしていきたいです。

副業人材とのミーティング風景

――コーディネーターから見た、プログラム参加前後の変化

人材や採用といった課題に、事業創造型インターンシップで学生とも取り組んでこられましたが、今回、副業人材と取り組むにあたる裏テーマとして、副社長の仕事をいかに楽にするか、抱えている仕事をどう社内に落とし込み一緒に取り組めるか、そして本来の役割に集中できるかということもありました。この部分に対する変化では、課題への理解者が増え、一緒に動く社員が増えたと感じています。今回取り組んだことで、採用活動に対し必要なことがリスト化され可視化できたことで、メンバーそれぞれが役割を持ち取り組めていることは、これまでになかった動きであり大きな変化だと思います。

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