「先輩家業後継者に学べ!学生後継者のためのキャリア相談会」を開催しました。

7月27日に、家業を持つ大学生後継者向けに、先輩後継者に悩みを相談するキャリア相談会を開催しました。相談役の先輩後継者として、株式会社みやじ豚の宮治勇輔氏、株式会社豊和の山本美代氏、株式会社前田精密製作所の前田真氏にご登壇いただき、全国各地から5名の家業後継者が参加しました。

今回のイベントの実施背景ですが、「継ぐ」という特別な環境にいる後継者の多くは、周りに同じ立場の後継者が少なく、承継に向けた悩みを相談しにくい環境にあります。

「親と継ぐことに関してあまり話せていない…」

「継ぐにあたって、 学生生活や新卒3年目までで何をやったらいいのか?」

「家業に戻るのはいつのタイミングがいいのか?」

「周囲には継いでほしいと言われるが、継ごうかどうか迷っている」

といった悩みを抱えたまま、先が見えないまま生活を送る現状を改善したい、そんな想いから今回の相談会を企画しました。

次世代後継者の問いに、先輩後継者が本気で向き合う

学生の抱える悩みは「継ぐべきか、他の道を選ぶか」だけではありません。継ぐと決めていても、具体的に今何をやればいいのか?キャリアを積んでから家業に戻りたいが、どんなスキルを磨けばいいのか?といった、動きたいのに踏み出す方向がわからないという学生も今回の参加者にはいました。それに対し先輩後継者からは、自分の場合はこうしてきたという経験を基にしたアドバイスや、丁寧に学生のやりたいことをヒアリングした上で、今やると良いこと等の相談に乗っていました。

また、「家業を継いでからこんなことをやりたい」と、やりたいことが決まっている学生に対しては「まず売り上げを出すこと、結果を出すこと、そして周囲の信頼を勝ち取ること」と言った、至極当たり前のことではあるが承継前には見落としてしまいがちな部分についてしっかりと釘を刺すといった場面も見られました。

相談会という位置づけではありましたが、見ているとまるで「師匠と弟子」のような印象を受けました。生き生きと事業に取り組む先輩に刺激を受けるだけでなく、継ぐということの厳しさについての話等ぶっちゃけたやり取りが展開され、先輩後継者も学生の悩みに対して本気で向き合っていたように思います。

そして、今回の相談会で何よりも良かったことは、参加前には「家業を継ぐつもりは無い」と回答していた学生が終了後には「話していく中で共感してくれる方がいて、少し気が楽になった。まだ承継すると決められないが、選択肢の一つとして検討したい」と話してくれたことでした。今回のイベントは、学生後継者の承継に向けた準備をサポートするという側面もありましたが、他の皆が持っていない「家業を継ぐ」という可能性にも目を向けてもらうための機会でもあったため、こういった意識の変化を起こせたことを、喜ばしく思います。

家業イノベーターとして活躍する先輩後継者たちが、次の世代の後継者の活躍を応援する。そして次世代の後継者が先輩の後継者に学ぶ。これこそが、家業イノベーション・ラボが大切にしていることの一つで、私たちが多様な世代をメンバーとしたコミュニティを作る理由でもあります。「日本の中小企業を次世代に繋いでいく」そのための一つの取組として、先輩後継者と次世代後継者の連携に、今後も継続して取り組んでいきます。