【家業経営革新プログラム】「さるぼぼ」を100年続くブランドに。心からそう思えるようになった外部人材との対話。

岐阜県の飛騨高山で「さるぼぼ」を製造している「有限会社オリジナル」さん。
飛騨高山のマスコット「さるぼぼ」を100年続くブランドにしていくために、中期計画を外部人材と一緒に作る経営革新プログラムに挑戦されました。
(求人ページはこちら:https://yosomon.jp/project/2282

プログラム参加の感想を、代表取締役社長の中澤淳さんに伺いました。

根本から変えなくてはいけないと焦っていましたが、そうではないと気づきました

――プログラムに応募した当時の状況と、応募に至った経緯を教えてください。

2021年の6月くらいですが、会社の状況としてはコロナが続いていまして、既存のビジネスが激減してしまいました。会社そのものと言っても過言では無い先代経営者の父が亡くなってしまい、、売上的にも精神的にも、厳しい状況でした。なし崩し的に自分が社長になり、この先会社をどうしていいったらいいのか、と途方に暮れている状況です。課題が山積みでして、一体何から手をつけたらいいのか、、と考えこむような時期でした。そんな折、セブンハンドレット社の小林さんにその話をしたところ、このプログラムを紹介してもらいました。どういう状況か分からないがやってみようと思い、応募しました。

――ブラッシュアップ会に参加されましたが、参加してみてどのような変化がありましたかか?

参加する前は、生産体制の内製化が必要という頭でおりまして、同時に稼げるような、新しい商品を開発しないといけないと考えていました。問題ばかりが目に見えて、どこに焦点を当てたらいいか、なぜそれを問題だと捉えているのかが分かっていない状況だったと、あとから振り返って思います。

ブラッシュアップ会の場でメンターの2名から、自分のやりたいことの根本が見えてないから、そういう状態になっているのではないかと指摘を受けました。一人で考えていても分からないから、チームを作って、そこで話すといいのではないかとアドバイスをもらいました。それが一番、「ああそうか」という気持ちになったアドバイスです。自分一人でうずくまって悩んでいる感じだったのが、社員にも相談していいんだと視界が広まった感じがしました。

また、売上をアップさせるためには新規顧客の開拓が絶対に必要と考えていましたが、メンターからの指摘により、そこに縛られる必要は無いのだと分かったことが大きな変化です。
加えて、既存顧客にもう一品買ってもらうキャンペーンをやってみるアイディアや、利益率の高い商品に顧客がアクセスしやすい環境を作ることなどの具体的な案と、外部人材にはBtoB営業の責任者経験のある人が良いのではという示唆をもらいました。

――その後、副業人材を募集するにあたって、さまざまな人材と面談をされましたが、どのような感想を持ちましたか?

世の中には有能な人っていっぱいいるんだなとしみじみ思いました。面談の中でプレゼンをしてくれる中で、どの方の話も面白いと思えました。今回は採用する方を一人決めて取り組んでいますが、今後プロジェクトが進んでいく中で、ほかの方から出ていた話を進めるのもいいなと思っています。
人材の選定では、ブランディングの専門の人と迷いました。さるぼぼは想いを伝える手紙のようなものだ、という話があり、それがしっくりきました。現在、人材と話している中で、さるぼぼって一体なんなのか?世の中にいったいどういう良いことがあるのか?と考えている中で、相手に対して想いを伝えるものだという根本から話を進めており、その時の話が生きているなと感じています。

――人材が参画し、その後はどのようにプロジェクトが進んでいきましたか?

今回のプロジェクトは、中期計画の策定をお願いしています。人材には、どこを目指していくのか、何をやっていくのか、といった答えを自分の中から引き出すことをしてもらってます。今、ミッション・ビジョン・バリューが定まってきましたが、特に人材の方とお話をする中で助かっていることは、話を被せて来ないことです。短い質問でこちらの話を引き出してくれて、話し出すのを待ってくれる、5分ぐらい沈黙しても急かさないですし、私のまとまっていない言葉、断片的なことをぽつぽつ話しても、「こういうことですか?」と変換してくれるので、安心して変なことや意味の通っていないことも言うことができるので、とても助かっています。

――今回のプログラムを通じて、自社とご自身について、どのような変化がありましたか?

一番大きな変化は、自分自身の気持ちとか、会社のことを深く知れたこと、考え直す機会になったことです。父が作った会社であり、ある程度育ち切った会社を渡されたので、愛着はありますが、会社の何に愛着があるのか、分かっているようで理解できていない、見えていない部分がありました。それを人材から質問を受けて、考えて話す中で、分かってきた感覚があります。

さるぼぼというものに対して、自分の中で古臭いものだ、というあきらめに近いものを持っていたと、話している中で気づいたんです。新しいものにして行かないといけない、という気持ちがあったのですが、そうではなくて、売り方や手法が古いだけで、製品の根本は時代に即していない訳では無くて、もっともっと伸ばしていけるものだと感じました。

さるぼぼをしっかりと揺らがない柱にして、100年後に続いていくものにすることは労力がかかりますが、しっかりやれれば、他の新しいことをやらずとも、いけると。しっかりじっくりやることが、存在意義であり、自分がやりたいことでもあり、採算が取れることでもあると思えるようになりました。根本から変えなくてはいけないと焦っていましたが、今のものをアップデートすることが重要だと心から思えるようになりました。コンサルを入れてもこうはならないなとつくづく思います。たぶん新しいことをやろうという提案をされたはずです。今回入っていただいた人材には、これからも続けてもらいたいと思っています。

――今後の展望について教えてください

さるぼぼという人を幸せにできるものの制作に携わっているのは、自分も幸せだし、従業員も幸せだと思うので、さるぼぼは人を幸せにするものだという認知を広げていきたいと思います。そういった思いが込められていると分かった上で手に取ってくれる人が増えていき、今後もさるぼぼが100年続いていくビジネスにしていきたいです。今できていないところを一つ一つつぶしていけば、会社は必ず良くなるので、前向きにやっていきたいと考えています。

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