【家業経営革新プログラム】土木会社の挑戦!副業人材と共に歩んでみての感想

広島県東広島市で建設業を営む株式会社新川さんでは、経営革新プログラムにて防災事業の新規立ち上げを行うプロジェクトマネージャーを募集し、マッチングした人材ともにプロジェクトを実施しています。
(参考 求人ページ:「土木会社の新しい可能性を拓く!防災事業の新規立ち上げを行うプロジェクトマネージャー求む。」https://yosomon.jp/project/1682

株式会社新川 取締役専務 新川隼人さん

最初は半信半疑でした

――副業人材を受け入れた当時の状況を教えてください

当社は昭和30年に祖父が創業した土木会社で、平成31年に私といとこに事業承継されたばかりでした。私たちの会社のある東広島市安芸津町(人口1万人弱)は平成30年7月豪雨(西日本豪雨)によって土石流や河川氾濫により大きな被害を受けた町でもあり、発災後から災害復旧にかかる公共工事に従事してきました。

地域に恩返ししたい一心で災害復旧工事に取り組んできたのですが、工事の終わりが見えてくる中で、公共工事に依存した法人経営からの脱却が自社における課題として浮上してきました。そのために、新規事業に取り組みたいと考え、目を付けたのがちょうど取得していた空き家の活用でした。

――家業経営革新プログラムの応募に至った経緯はいかがでしたか?

地域コーディネーターをしている知人からの「やってみないか」という誘いがきっかけでした。副業人材を活用している事業者は周囲にはおらずイメージができないこともありましたが、空き家活用は未経験の領域であり分からないことも多かったため、「なにもやらないよりはとりあえずやってみよう」という思いから応募に至りました。最初は半信半疑でした。

――ブラッシュアップ会に参加してみての感想はいかがでしたか?

家業を引き継がれている全国の事業者の方々のチャレンジを聞くことができたことで大きな刺激をいただきました。また、私たちのプロジェクトについてプレゼンした際には、メンターの伊東さんと田嶋さんから多角的な視点でのアドバイスをいただきました。当たり前になっていてあまり意識できていなかった、「家業として取り組んできた土木業」と「災害復旧を続けてきた安芸津町の防災」という2つの大切なキーワードに気づくことができました。ここで出会ったキーワードを基に、地域コーディネーターと協議しながら、プロジェクトを固めていきました。

―― 複数の外部人材と面談をしてみての感想を教えてください

募集をかけて1週間程度で7人の方のエントリーがありました。正直、「来ないだろう」と思っていました。なので、すごく驚きました。しかも、とても優秀な方ばかりで、甲乙つけがたく、選考には非常に苦労しました。その中で、能力はもちろん、人柄もよい上に、広島県にご家族が住まわれており、他県の勤務地との二拠点で仕事をされているTさんに依頼することになりました。

迷わず進めていけるという自信を得ることができた

――実際にプロジェクトが動き出してからはいかがでしたか?

ハード面については地元の建築士や工務店に依頼していたため、Tさんにはソフト面(ロードマップ・コンセプト・事業計画・広報戦略等の策定)をお願いしました。2週間に1~2回程度の頻度でオンライン会議を行っていました。Tさんは、テーマパーク運営会社に務めており、そこで培った知見を活かして、タスクを明確にすると共に、言語化できていなかった私たちの「大切にしていること」を言語化し、アウトプットする助けをしてくれました。その結果、「リビングラボ」というコンセプトが生まれ、「横の繋がりを提供する場にしていく」という方向性が確立したため、契約満了(2021年12月)後も、2022年3月に設定した営業開始に向けて、迷わず進めていけるという自信を得ることができました。

※リビングラボ:企業や社会の複雑な課題を住民や企業等の提供者が一緒になって、検討し、生活環境下で実証し、この共創と実装と評価と改善から、新しいサービスや商品を生み出す一連の活動のこと

――今回のプロジェクトを通じて起きた変化はどのようなものでしたか?

Tさんと一緒に練ってきたこのプロジェクトが、地元の公益社団法人アクティブベースくれの「幸運(グッドラック)」というビジネスコンテストで助成先に選ばれました。Tさんと歩んできた時間があったからこその成果です。社内で私が先行する形で動いてきたプロジェクトですが、成果が目に見え始めてきたため、社内でも理解が進んできました。また、地域でも「なにやってるの?」や「新聞に出ていたね」と言われることが増えてきて、注目度がどんどん高まっていることを感じています。営業開始までもう少し時間がありますので、しっかり準備を続けていきたいと思います。

おわりに

――今後の展望を教えてください。

Tさんとは契約満了することにはなりましたが、これからは、リビングラボのサポーターの一人として関わってもらうことになりました。Tさんとは、良い関係性をしっかり築き、長く付き合っていけたらと思っています。素敵な出会いをいただいた、家業プログラムには感謝しかありません。

また、当初、空き家活用と防災テーマパークの2本柱でプロジェクトを描いていたのですが、リソースの関係で空き家活用にしか今回は取り組めませんでした。空き家活用が落ち着いたら、防災テーマパークにも取り組んでいく所存です。私たちは、これからも、「健全な建設業の経営を通じて社会に貢献し、街づくり・人づくりを通じて地域に貢献する」という経営理念に沿って、すべきと思うことに積極的にチャレンジしていきます。

■家業経営革新プログラムの概要・その他の事例記事はこちらから
https://kagyoinnovationlabo.com/about/keieikakushin/