【家業経営革新プログラム】「後継者としての覚悟ができた」 外部人材とのアイアン家具事業の立ち上げ

第一工業㈱は富山県黒部市にある鉄工所です。創業時から一貫してプラント設備の機械の周辺機器等の製作を自社工場にて行い、また現在ではリフォーム事業との2軸で事業を営んでいる会社です。今回、6年前に2つの事業の強みを生かして立ち上げた「アイアン家具」のビジネスモデルを確立し、販売を拡大してもらう役割となる外部人材を募集し、共に取り組むことになりました。

求人ページはこちら:https://yosomon.jp/project/2001

第一工業株式会社 江端 茜さん

同じ立場で奮闘する家業後継者たちの姿に元気をもらった

――プログラムに応募した当時の状況と、応募に至った経緯を教えてください。

当時はどこから何をすればいいのか分からず、キャパオーバーしていました。 祖父から父へと続いている製缶業と母が手掛けるリフォーム事業の想いの継承、また既存事業を活かした新しい取り組みとして「アイアン家具」をやり始め、おぼろげながらにブランド化を検討していました。しかしながら、各分野での専門性があるわけではなく、どこから手をつければいいかわからない状況の中で、とてもいいタイミングでコーディネーターさんに専門知識を持たれた外部人材を招き入れ、今ある課題をチームとして解決していくようなプロジェクトに参加してみませんかというお話をいただき、応募に至りました。

――ブラッシュアップ会に参加したことで、変化はありましたか?

同じ立場の方の奮闘している姿に元気をもらいました。知見ある方々よりアドバイスをいただくことで自社の資源が何かを見つめ直す機会にもなりましたし、何から手を付けるべきなのか明確にすることができました。特に当時は視野と知識が足りず、アイアン家具をどれだけ周知しどれだけ独自の商品とするかという点に注力しておりましたが、その前の段階である取引先の幅を広げることや、どのようにターゲティングしていくかといったことの、重要性に気づくきっかけとなりました。

また、今の取り組みをいろんな方に応援していただき自信にもなりましたし、なにより同じ立場で奮闘している家業後継者の方々を見て、私ももっと頑張らなければな!という気持ちにさせていただきました。

素晴らしい人材との出会い

―― 複数の外部人材と面談をしてみての感想、良かったことはなんですか?

皆さんとても魅力的かつ優秀な方々ばかりでした。 合計3名の方とお話させていただきましたが、家業の会社を継ぎながら新しい挑戦をされている方やプロジェクト企画から法人営業までこなされる方、似たような分野で商品開発された経験がある方など、皆さん各分野で優秀な実績をもたれている方のため、どなたに来ていただいても良いプロジェクトになるのではないかと思わされました。このような方々と面談したことで、非常に身が引き締まる思いでした。

―― 最終的にお一人に決められた、決め手はなんでしたか?

人柄一択でした。会社の相性やどのような経歴を持たれているかなど、当初考えていたどのような方を採用するかの基準はYさんとお話させていただいた時には既に忘れており、気がついた時にはまだ他の面接者がいる中で採用前提の話を進めておりコーディネーターさんも焦ってましたね。同じ富山にゆかりのある方だったのも何かの縁だと感じました。もちろん経歴も素晴らしい方でなんとか断られないようにするにはどうしたらいいのだろうと当時は考えてました。

――実際にプロジェクトが動いてからの状況・感想を教えてください

みんなでプロジェクトを進めていくことがとても楽しく、また形になっていくことで充実感があります。まず面談を終え、10月から本格的に始動しオリジナル家具の商品化に向けて週に1回ZOOMミーティングを重ね、すり合わせを行いました。外部人材の方に一度来社頂き、社長、コーディネーターとミーティングを行い社風や今後の展望を共有しました。

そして、同業他社や業界の動向調査、コンセプトやペルソナ設定、今までの実績の洗い出し(価格帯、客層等)、デザインを3種類確定、とスケジュール通りに商品化に向けて熟考を重ねた上でアンケートを実施しました。その後デザインの再検討を行い一次試作を製作しております。 今後はプレスリリースや広報のためファクトブックをつくり、商品発表後の販売先を一般消費者から法人対応にする方法を検討していきます。

後継者としての覚悟ができた

――今回のプログラムを通じて起きた、自社・後継者自身の変化や成果を教えてください

いろいろなことがありますが、まず複数の外部人材と協同してタスクをやり遂げていく事が楽しく、とても充実感のある毎日を過ごせるようになりました。初めはチームとして取り組む経験がなく、スピード感を持って進める事に必死だったのですが、徐々に慣れていき早いテンポで物事を判断し物事を進めていく感覚を身に着ける事が出来きました。

また会社としても下請け気質がある自社でしたが、攻める経営をしていく意識を持つことが出来るようになったと感じており、会社としての成長にもなったのではと思います。

最も大きいのは、後継者としての覚悟ができたことです。このプロジェクトが始まる前は、後継者としての人材は自分でいいのだろうか…と自信が無い私でしたが、プロジェクトを通し自社の技術や社歴に再度向き合い、家業の価値を再確認し、自分で未来を開拓していく取り組みに携わることで、意志を強く持ち、決心するに至った点が自身としては一番大きな収穫になりました。

――コーディネーターから見た、プログラム参加前後の変化

当時の後継者の印象は、かなりバイタリティ溢れる方という印象でしたがそれをどう会社に生かせばいいのか、そもそも生かせるのかといった点でどこか自信がないように感じました。それが、おそらくブラッシュアップ時点と副業人材との顔合わせ時点で大きく何か変わったのではないかと。

それは自身の考えや行動が間違いじゃなかったという自信と、それが形になってきている実感からではないかなと思います。今回のプロジェクトをきっかけに長らく躊躇していた役職(専務)にもつき、後継者としての覚悟も垣間見えてきたのではないかと思っております。また、会社としても外部人材の受け入れは初めてで富山県の企業で見ても実例が少なかったことから当初こそ不安そうな面持ちではありましたが、徐々に安心していただきお会いした際には先代からの強い想いを継承していることや事業への強いこだわりについて熱弁していただけました。

外部人材を含めた方々と全員でお会いする機会は一度しかありませんでしたが強い信頼関係を築けており強い想いと笑いの絶えないとてもいいチームだなと印象に残っております。

■家業経営革新プログラムの概要・その他の事例記事はこちらから
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